マルチブラケット装置で発生するトラブル
マルチブラケットとは、矯正治療の際に歯の位置を動かすのに使用される医療器具のことです。歯列矯正で一般的なマルチブラケットですが、実はさまざまな歯のトラブルを引き起こす原因にもなり得ます。 この記事では、マルチブラケット装置によって引き起こされるトラブルの例、そしてトラブルを未然に防ぐためのポイントをご紹介します。
マルチブラケット装置で発生するトラブルの例
ここでは、マルチブラケット装置で発生する可能性があるトラブルを4つご紹介します。
1. 装置の破損や脱離
大きくて硬い食べ物を口にすると、装置の破損や脱離を起こすことがあります。緊急性が高いトラブルの場合、来院の必要があるケースもあります。
2. 後方のワイヤーの突出
歯が動くと後方からワイヤーが伸びて、粘膜に引っかかるように感じることがあります。その際にはワイヤーの切断やカバーの装着といった対処が必要になります。
3. 装置の刺激による痛み
ブラケットやワイヤーが粘膜に刺激を与えることがあります。時間の経過とともに粘膜が順応していくこともありますが、痛みを伴う可能性もあります。
4. 食べ物の挟まり
歯間や歯と装置の間に食べ物が挟まり不快感を覚えることがあります。デンタルフロスや歯間ブラシを活用した丁寧な歯磨きを心がけることが大切です。
マルチブラケット装置によるトラブルを起こさないためのポイント
上記のようなトラブルは未然に防ぐことが可能です。下記の点に気をつけながら日常生活を送るように心がけましょう。
・硬いものを食べる時は小さくちぎって奥歯で噛むようにする
・指や舌で矯正装置に触れないように気を付ける
・こまめで丁寧な歯磨きを心がける
・ガムやキャラメルなどのくっつきやすい食べ物は避ける
・リテーナーは毎日、できれば終日装着する
・食事中はリテーナーを外す
・水泳やランニングといった激しい運動をする際にはリテーナーを外す
マルチブラケット装置によるトラブルは未然に防げる
歯の矯正は長期間にわたる治療です。そのため、さまざまなトラブルが発生する可能性があることを理解しておきましょう。日常生活の中で少し気をつけるだけでこれらのトラブルを未然に防げるので、紹介したポイントをぜひ参考にしてみてください。
記事監修 医療法人祐愛会「西村歯科」 西村 有祐
■ 略歴
- 日本歯科大学新潟歯学部 卒業
■ 所属学会・資格
- 日本口腔インプラント学会JSOI専修医
- 日本訪問歯科協会認定医
- 日本歯周病学会 会員
- 日本障害者歯科学会 会員
- 日本訪問歯科協会 会員
- 日本歯科保存学会 会員
■ 著書
- 『よみがえる青春のかみごこち』 国際臨床出版社
- 『訪問歯科診療におけるメディカルインタビューの進め方』 日本訪問歯科協会
- 『訪問歯科診療 アドバンスプログラム』DVD内著書 日本訪問歯科協会
- 『補綴とデンチャーへのリマインダー』DVD教材収録 日本訪問歯科協会



