マウスピース矯正が合っていない?ゆるい時のチェックポイント
マウスピース矯正を始めて、マウスピースがゆるいと感じると「きちんと歯が動いているのか」「このまま治療を続けて大丈夫か」と不安になるかもしれません。
このゆるさには、治療が順調に進んでいる証拠である場合と、何らかのトラブルが起きている場合があります。
マウスピースがゆるくなる主な原因は下記のとおりです。
・歯が予定通りに動いてフィットしたため
・交換時期が近づき歯とマウスピースの間に隙間ができたため
・装着時間が不足していて歯が計画通りに動いていない
・歯の表面にあるアタッチメントが外れている
・チューイーの使用が不十分でマウスピースが浮いている
・マウスピース自体が変形、破損している
・誤った順番のマウスピースを装着している
もしマウスピースがゆるいと感じた場合の対処法は、下記の3つがあります。
・チューイーをしっかりと噛んでフィットさせる
・マウスピースの正しい装着方法を再確認する
・一つ前のマウスピースに戻して様子を見る
この記事では、マウスピースがゆるく感じる原因と、自分でできる対処法、そして歯科医師に相談すべきケースについて解説します。
心配無用なケースも!マウスピースがゆるくなる正常な理由
マウスピースがゆるいと感じても、必ずしも問題があるわけではありません。
むしろ、治療が計画通りに進んでいる証拠であるケースも多くあります。
矯正治療が進むにつれて、歯がマウスピースの形に合ってくるため、装着時の圧迫感や痛みが和らぎ、ゆるいと感じることがあります。
特に次のマウスピースへの交換時期が近づいている場合は、その傾向が強まることが一般的です。
まずは正常な理由を理解し、過度に心配しないようにしましょう。
歯が予定通りに動いてフィットしたため
新しいマウスピースを装着した当初は、歯を動かすための力がかかるため、きつさや圧迫感を感じることがほとんどです。
しかし、装着を続けるうちに歯が設計された位置へ少しずつ移動していきます。
その結果、歯並びがマウスピースの形に近づき、当初感じていた圧迫感が薄れてフィット感が増します。
この状態を「ゆるくなった」と感じることがありますが、これは歯が計画通りに動いている順調な証拠です。
痛みや違和感がなくなったからといって、矯正力が弱まっているわけではありません。
交換時期が近づき歯とマウスピースの間に隙間ができたため
マウスピースは、通常1~2週間ごとに新しいものに交換しながら治療を進めます。
同じマウスピースを一定期間使用し続けると、歯がそのマウスピースの目標とする位置まで移動しきります。
歯が動ききった後は、歯とマウスピースの間にわずかな余裕が生まれ、これが「ゆるさ」として感じられる原因となります。
特に交換日の直前になると、この感覚は顕著になることが多いです。
これは、次のステップのマウスピースに進む準備が整ったサインであり、治療経過が良好であることの表れです。
注意が必要!マウスピースがゆるい場合に考えられる5つの原因
マウスピースがゆるい原因が、治療の進行によるものではなく、何らかのトラブルに起因している可能性もあります。
装着時間が足りない、アタッチメントが外れているなどの問題は、治療計画に遅れを生じさせる原因となります。
最悪の場合、治療計画の再作成が必要になることも考えられるため、ゆるさの原因がどこにあるのかを正しく見極めることが大切です。ここでは、注意すべき5つの原因について解説します。
装着時間が不足していて歯が計画通りに動いていない
マウスピース矯正では、1日20時間以上の装着が推奨されています。
食事や歯磨きの時以外は常に装着しておくのが基本です。
この装着時間を守れていないと、歯が計画通りに動かず、現在の歯並びと次のマウスピースの形にズレが生じてしまいます。
その結果、新しいマウスピースがうまくはまらずに浮いてしまったり、逆にゆるいと感じたりすることがあります。
1日の装着時間が20時間を下回る日が続くと、治療期間が延びる原因にもなるため、自己管理が非常に重要です。
歯の表面にあるアタッチメントが外れている
アタッチメントとは、歯の表面に設置する小さな突起のことで、マウスピースを歯にしっかりと固定し、複雑な歯の動きをサポートする重要な役割を担っています。
このアタッチメントが食事や歯磨きの際に外れてしまうと、マウスピースの維持力が低下し、浮きやゆるさの原因となります。
アタッチメントがなくてもマウスピースを装着できることもありますが、計画通りの矯正力がかからなくなるため、治療効果が得られません。
外れた場合は自分で戻すことはできないため、速やかに歯科医院へ連絡してください。
チューイーの使用が不十分でマウスピースが浮いている
チューイーは、マウスピースを歯にしっかりと密着させるための補助道具です。
特に新しいマウスピースに交換した際は、歯とマウスピースの間にわずかな隙間が生じやすいため、チューイーを噛むことでフィット感を高める必要があります。
この工程が不十分だと、マウスピースが完全に装着されずに一部分が浮いた状態になり、ゆるいと感じてしまいます。
マウスピースを指で装着した後に、全ての歯で均等にチューイーを噛み込む習慣をつけることが、効果的な治療につながります。
マウスピース自体が変形・破損している
マウスピースは薄い樹脂製の素材でできているため、取り扱い方によっては変形・破損する可能性があります。
例えば、マウスピースを装着したまま熱い飲み物を飲んだり、洗浄の際に熱湯を使用したりすると、熱で変形することがあります。
また、無理な力で着脱を繰り返すと、亀裂が入ったり割れたりすることも少なくありません。
変形や破損が生じたマウスピースは、正しい矯正力をかけることができず、治療の妨げになります。異常に気づいたら使用を中止し、すぐに歯科医師に相談してください。
誤った順番のマウスピースを装着している
マウスピースは、治療計画に基づいて少しずつ形の違うものが用意されており、それぞれに番号が記載されています。
この番号順に装着していくことで、段階的に歯を動かしていきます。
もし誤って先の番号のマウスピースを装着しようとすると、現在の歯並びと合わないため、ゆるいと感じたり、逆にはまらなかったりします。
複数のマウスピースをまとめて保管している場合は、取り違える可能性もあるため、装着前には必ず袋やマウスピース本体に記載されている番号を確認する習慣をつけましょう。
マウスピースがゆるいと感じた時に自分でできる対処法
マウスピースにゆるさを感じた時、すぐに歯科医院へ行けない場合でも、自分で試せる対処法がいくつかあります。
まずは、マウスピースが正しく装着できているかを確認し、補助道具を適切に使用することが基本です。
これらの方法を試すことで、フィット感が改善されるケースも少なくありません。
ただし、これらの対処法を試しても改善が見られない場合や、異常を感じる場合は、自己判断で続けずに歯科医師の指示を仰ぐことが大切です。
まずはチューイーをしっかり噛んでフィットさせる
マウスピースが浮いてゆるく感じる場合、最も効果的な対処法はチューイーを正しく使用することです。
マウスピースを装着した後、弾力のあるシリコン製のチューイーを前歯から奥歯まで、全ての歯でまんべんなく数分間噛み込みます。
これを1日に数回繰り返すことで、マウスピースと歯の間の隙間をなくし、しっかりと密着させることができます。
特に新しいマウスピースに交換してから2~3日の間は、歯とマウスピースが馴染んでいないため、意識的にチューイーを使用するとフィット感が高まります。
マウスピースの正しい装着方法を再確認する
日々の習慣で、自己流の誤った方法でマウスピースを装着している可能性があります。
正しい装着方法は、まず前歯にマウスピースを合わせてから、左右の奥歯に向かって指で均等に圧をかけて押し込んでいくのが基本です。
奥歯から無理に噛み込んで装着しようとすると、マウスピースの変形や破損につながるだけでなく、正しくフィットしない原因にもなります。
一度、治療開始時に歯科医院で受けた指導を思い出し、正しい手順で装着できているかを確認してみてください。
一つ前のマウスピースに戻して様子を見る
新しいマウスピースがどうしてもフィットしない、または痛みが強い場合、一時的な対処法として一つ前のマウスピースに戻すことが考えられます。
これは、歯の動きが計画に追いついていない可能性があり、一つ前の段階に戻すことで歯を正しい位置へ再誘導する目的があります。
ただし、この方法はあくまでも応急処置です。
自己判断で長期間前のマウスピースを使い続けると、治療計画全体に大きなズレが生じる可能性があります。この方法を試す際は、必ず事前に歯科医師に連絡し、指示を仰ぐようにしてください。
自己判断は危険!すぐに歯科医師に相談すべきケースとは
自分でできる対処法を試してもマウスピースのゆるさが改善されない場合や、明らかな異常がある場合は、自己判断をせずに速やかに歯科医師に相談することが重要です。
例えば、アタッチメントが外れてしまった、マウスピースが破損・変形した、強い痛みが続くといったケースが挙げられます。
また、マウスピースが明らかに浮いていて、チューイーを使ってもフィットしない場合も治療計画とのズレが考えられます。
これらの問題を放置すると治療期間の延長や計画の失敗につながるため、早めの受診を心がけましょう。
まとめ
マウスピース矯正中にゆるさを感じた場合、その原因は治療が順調に進んでいるケースと、対処が必要なトラブルのケースに分けられます。
歯が計画通りに動いてフィットした場合や、交換時期が近づいたことによるゆるさは心配ありません。
しかし、装着時間不足やアタッチメントの脱離、マウスピースの変形などが原因の場合は、治療計画に影響を及ぼす可能性があります。
まずはチューイーの使用や正しい装着方法を試し、それでも改善しない場合や明らかな異常がある際は、自己判断せず速やかに歯科医師に相談してください。
記事監修 医療法人祐愛会「西村歯科」 西村 有祐
■ 略歴
- 朝日大学歯学部 卒業
■ 所属学会・資格
- 日本口腔インプラント学会JSOI専修医
- 日本訪問歯科協会認定医
- 日本歯周病学会 会員
- 日本障害者歯科学会 会員
- 日本訪問歯科協会 会員
- 日本歯科保存学会 会員
■ 著書
- 『よみがえる青春のかみごこち』 国際臨床出版社
- 『訪問歯科診療におけるメディカルインタビューの進め方』 日本訪問歯科協会
- 『訪問歯科診療 アドバンスプログラム』DVD内著書 日本訪問歯科協会
- 『補綴とデンチャーへのリマインダー』DVD教材収録 日本訪問歯科協会



