矯正治療中の注意点
矯正治療を始めたら、治療が終わるまである程度の期間がかかります。その間に起こり得るいくつかの注意点をお伝えします。違和感や痛みなどのトラブルがあっても焦らず、適切に対処していきましょう。
まず1つ目が矯正治療開始時の痛みです。矯正治療というのは器具を装着して、歯を動かしていくために炎症を起こす治療なので痛みを伴います。特に、矯正器具装着初期は強い痛みを感じる方が多いです。目安としては、始めの2~3日は強い痛みがあり、徐々に落ち着きます。そして最終的には1週間~10日ほどで痛みがおさまる人が大多数です。もし痛みがひどすぎる場合は鎮痛剤の服用もできますが、そうすると炎症を抑えることになるので矯正治療がスムーズに進まなくなってしまいます。
矯正治療ではこのような痛みがあることを理解し、ひどい痛みや違和感が続く場合は歯科医に相談してください。そして、稀に矯正治療を始めてから顎関節症になる方がいらっしゃいます。口が開けにくかったり、顎が痛くなったりする症状です。これは、矯正治療により歯が移動する中で、噛み合わせが悪くなってしまったことが原因のひとつです。また、慣れない矯正治療によるストレスで無意識に歯ぎしりをしていることも考えられます。違和感があったらそのままにせず、歯科医に相談しましょう。
2つ目が歯磨きの際の注意点です。矯正器具を歯に装着していると、器具やワイヤーの周囲などに食べカスが挟まりやすくなってしまいます。細かいところまでしっかりと歯磨きしないと虫歯や歯周病になりやすいです。もし、それらの症状が出てしまったら、治療のために矯正を中断しなければなりません。結果的に矯正期間が長引いてしまうので、日々の歯磨きをしっかりと行ないましょう。
歯間ブラシやタフトブラシなども活用して、細かい部分までブラッシングしていくことが大切です。矯正治療をすると、発音しづらくなるのではないかと心配される方がいますが、大きな影響はありません。慣れるまでは違和感があるかもしれませんが、1~2週間もすると慣れて普通に話せるようになります。
記事監修 医療法人祐愛会「西村歯科」 西村 有祐
■ 略歴
- 日本歯科大学新潟歯学部 卒業
■ 所属学会・資格
- 日本口腔インプラント学会JSOI専修医
- 日本訪問歯科協会認定医
- 日本歯周病学会 会員
- 日本障害者歯科学会 会員
- 日本訪問歯科協会 会員
- 日本歯科保存学会 会員
■ 著書
- 『よみがえる青春のかみごこち』 国際臨床出版社
- 『訪問歯科診療におけるメディカルインタビューの進め方』 日本訪問歯科協会
- 『訪問歯科診療 アドバンスプログラム』DVD内著書 日本訪問歯科協会
- 『補綴とデンチャーへのリマインダー』DVD教材収録 日本訪問歯科協会



