矯正治療で感じる違和感や痛みの対処法を5つ紹介
「矯正治療の痛みはどれくらいで治る?」「眠れないほど痛いの?」と不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。
矯正における口腔の違和感は調整した翌日が最も強いですが、痛みが原因で治療を断念する方はほとんどいません。
装置を施した後の痛みは2〜3日続きますが、約1週間後には感じなくなるのが通例です。
本コラムでは、矯正治療時に知っておきたい痛みの原因や対処法について紹介しています。
矯正装置の違和感と痛みの原因とは
矯正治療では、じんわりと鈍い違和感や、歯が浮いたような痛みを訴える方が多いようです。
耐えられないほどの痛みではないとはいえ、違和感があるのは以下の原因が考えられます。
・歯が動く
・器具が粘膜に当たる
・食べ物を噛むのが刺激になる
歯は、歯根が埋まっている歯槽骨(しそうこつ)で支えられています。矯正治療は、装置の調整によって歯の位置を移動させます。歯槽骨が新たな方向にある骨に吸収され、歯が動くときに違和感が生じるのが主な痛みの原因です。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正はどっちが痛い?
ワイヤー矯正とマウスピース矯正では、痛みの感じ方に違いがあるのが一般的です。
ワイヤー矯正は歯の表面にブラケットと呼ばれる装置を固定し、ワイヤーを通して歯を動かします。
この方法は歯に強い力をかけるため、特に調整後には痛みを強く感じやすい傾向があります。装置が粘膜に当たって口内炎ができたり、食事の際に不快感があったりすることも少なくありません。
一方でマウスピース矯正は、透明なマウスピース型の装置を段階的に交換しながら歯を動かしていくため、歯にかかる力がワイヤー矯正と比較して穏やかです。そのため、痛みをあまり感じない方も多くいらっしゃいます。
インビザラインなどのマウスピース矯正は、ワイヤー矯正に比べて口腔内が傷つく心配もほとんどありません。さらに、マウスピースは取り外しが可能なため、痛みが気になる時には一時的に外して対処することも可能です。
しかし、痛みの感じ方には個人差があるため、ワイヤー矯正よりマウスピース矯正の方が絶対に痛くないとは言い切れません。
矯正治療における痛みの対処法5つ
一般的な矯正装置であるワイヤー・ブラケットの痛みを和らげるには、主に以下5つの対処法が有効です。
1. ワイヤーの締めつけ具合を調整する
矯正中の痛みは、ワイヤーによって歯に力がかかることが原因です。必要以上に強い痛みが出ている場合、ワイヤーの調整が合っていない可能性があります。歯科医師に相談すれば、ワイヤーの締め付け具合を少し緩めてもらったり、細いワイヤーに変更してもらうことで、痛みが軽減されることがあります。無理に我慢せず、定期調整のときや早めに連絡して相談することが大切です。
2. 矯正用ワックスを使用する
ブラケットやワイヤーの端が頬や唇に当たり、口内炎や傷の原因になることがあります。その際は「矯正用ワックス」を使うと効果的です。気になる部分にワックスを貼ると、器具と粘膜の間にクッションができて摩擦が減り、痛みが和らぎます。ドラッグストアや歯科医院で入手可能で、矯正患者さんには必須アイテムといえます。
3. 固い食事を控える
矯正中は、硬い食べ物(せんべい・フランスパン・氷など)をかむと痛みが強まるだけでなく、ブラケットが外れる原因にもなります。痛みが強い時期は、おかゆ・スープ・柔らかい煮物・ヨーグルトなど、やわらかくて噛みやすい食事を選びましょう。食べ物の硬さを工夫することで、痛みを大きく軽減できます。
4. 患部を冷やす
歯や歯ぐきがじんじんするような痛みがある場合は、口の中を冷たい水でゆすぐ、冷たい飲み物を口に含む、外側から冷却シートを当てるなどで痛みを和らげられます。冷却によって血流が一時的に抑えられ、炎症や痛みが軽減されるためです。ただし、冷やしすぎは知覚過敏を悪化させることもあるため、適度に行いましょう。
5. 鎮痛剤を飲む
どうしても我慢できない痛みがある場合は、市販の鎮痛薬(例:アセトアミノフェン、イブプロフェンなど)が有効です。服用は用法・用量を守り、必要最小限にとどめましょう。特に持病や服用中の薬がある方は、必ず医師や薬剤師に確認してください。矯正の初期や調整後の数日間は、痛み止めを上手に活用することで快適に過ごせます。
また、矯正装置が当たると口腔内が傷つく恐れがあるので、口内炎のケアも忘れずに行いましょう。治療による痛みは、鎮痛剤を飲むとおさまるケースが一般的ですが、耐えられないような強い痛みが出た場合は、すぐに当院へご相談ください。
矯正装置の種類は、歯の裏側に施す舌側矯正や透明なブランケット矯正、マウスピースを装着して行うマウスピース矯正があります。なかでもマウスピース矯正は、じっくりと歯を動かしていくので、締めつけによる痛みが発生しにくいといわれています。
矯正の痛みのピークはいつ?
矯正治療において多くの方が感じる痛みは、装置を装着してから数時間後に始まり、そのピークは一般的に装着した翌日あたりに訪れます。
痛みの感じ方には個人差がありますが、多くの人が「歯が浮くような感じ」や「締め付けられるような痛み」を感じます。
特にワイヤー矯正の場合、ワイヤーが歯に与える圧力が強いため、この期間は特に強い痛みを伴うことがあります。
しかし、ご安心ください。
痛みのピークを過ぎると、その感じ方は徐々に軽減されていきます。
ほとんどの場合、装置装着後1週間程度で痛みはかなり治まり、日常的な不快感もほとんど消失するでしょう。
インビザラインなどのマウスピース型矯正装置は、ワイヤー矯正に比べて歯に加わる力が段階的であるため、痛みの感じ方が比較的穏やかであると言われています。
装置を装着した直後や新しいアライナーに交換した際に多少の圧迫感を感じることはありますが、ワイヤー矯正のような強い痛みに発展することは少ない傾向にあります。
矯正の痛みはしだいに慣れてくる
矯正治療で生じる痛みは、あまり経験することのない鈍痛ですが、しだいに慣れてくるでしょう。痛みや違和感を我慢しなければならない歯科治療は、患者様にとって大きな負担となります。矯正治療を行うに際し、患者様の恐怖を和らげるには、治療前の話し合いが重要です。
当院では事前説明をしっかり行い、患者様の不安を取り除いたうえで、一人ひとりにあった矯正治療をご提案しています。
Q.1:矯正期間に気をつけるべきことは?
A.1:ワイヤー・ブラケット矯正の場合は、口腔内の衛生環境が乱れやすく、むし歯や歯周病のリスクが高まります。装置が取り出せないので、歯磨きがうまくできない場合もあるでしょう。飴やガム、お餅などを食べる際は、装置を破損させないように注意が必要です。
Q.2:小児矯正と成人矯正の違いは?
A.2:成人は歯列のみを矯正するのに対し、子どもの矯正は顎骨の成長を正しくうながす役目があります。歯並びだけでなく、お顔全体の骨格も整うなど全身の健康にも大きなメリットがあります。