歯列矯正が必要なのはどこから?軽度・重度の基準を解説
「自分の歯並びは矯正が必要なレベルなの?」 と不安を感じていても、どこからが治療対象なのかわからず、判断に迷っている方は多いのではないでしょうか。
歯並びの乱れは軽度から重度まで段階があり、個人での判断は簡単ではありません。
本コラムでは、段階ごとの歯並びの特徴や放置するリスク、治療法の選択肢について解説しています。歯列矯正が必要か見極める際に参考としていただけましたら幸いです。
軽度な歯並びの乱れの基準
軽度な歯並びの乱れの基準は以下のとおりです。
・前歯が少し出ていたり引っ込んでいたりする
・歯の間に小さな隙間がある
・歯が少し重なっている
前歯が1〜2mm程度前方に出ていれば軽度の上顎前突、引っ込んでいれば軽度の下顎前突とされます。軽度の下顎前突は、骨格に異常がなく、下顎だけがやや前に出ている状態を指します。
また、歯の間に小さな隙間が見られる場合や、歯が軽く重なっている状態でも、噛み合わせに大きな支障がなければ軽度の乱れと判断されるのが一般的です。
重度な歯並びの乱れの基準
重度な歯並びの乱れの基準は以下のとおりです。
・前歯が大きく出ていたり引っ込んでいたりする
・歯の間に大きな隙間がある
・複数の歯が重なっている
・噛み合わせが大きくずれている
歯並びの乱れが重度とされる基準は、前歯が大きく出ていたり引っ込んでいたりするケースです。一般的に、上の前歯が下の前歯よりも5mm以上突出していると上顎前突と診断されます。
また、歯が複数本重なっていたり、噛み合わせが大きくずれていたりする場合も重度な歯並びの乱れと判断されます。
見た目の問題だけでなく咀嚼機能の低下や、発音のしづらさなどの問題を引き起こすリスクがあるため、早めの矯正を検討しましょう。
軽度な歯並びの乱れを放置するリスク
歯並びの乱れは、軽度であってもさまざまなリスクがあります。歯列矯正を行わないことで考えられるリスクについて見ていきましょう。
虫歯や歯周病のリスクが高まる
軽度な歯並びの乱れでも、虫歯や歯周病のリスクは高まります。歯が重なっている部分や、歯の間に隙間がある場合は、磨き残しが起こりやすく、歯垢が蓄積しやすいためです。
初期段階の虫歯や歯周病は自覚症状が少なく、気づかないうちに進行します。特に、歯周病は進行すると歯を支える骨が溶け、歯を失うリスクもあるため注意が必要です。
食べ物が噛みづらくなる
わずかな歯並びの乱れでも、上下の歯の噛み合わせがずれて、食べ物をうまく噛めなくなるケースがあります。よく咀嚼せずに飲み込む習慣が続くと、胃腸への負担が増加して、消化不良や胃もたれなどの原因になることもあります。
ほかにも、咀嚼回数が減ることで、口元の筋肉が発達しづらくなり、口が閉じづらくなることもあります。
見た目のコンプレックスにつながる
軽度な歯並びの乱れでも、見た目のコンプレックスにつながる可能性があります。歯並びがコンプレックスになると、口元を手で隠す癖がついたり、写真を避けてしまったりするケースもあります。
軽度な症状でも歯列矯正で歯並びを整えておくことで、見た目の印象が改善され、自信を持って人と接しやすくなるでしょう。
軽度な歯並びの乱れの治療法
軽度な歯並びの乱れを改善する治療方法は複数あるため、患者さまのライフスタイルや希望に合った最適な方法を選ぶことが大切です。それぞれの特徴について見ていきましょう。
予防的処置
軽度な歯並びの乱れでも、定期的な歯科検診や丁寧なセルフケアで症状が悪化しないように予防することが大切です。歯並びの乱れは歯周病や虫歯のリスクを高めます。
また、頬杖をついたり、爪を噛んだりといった、歯並びに悪影響のある癖を改善することも予防として効果的です。歯列矯正をしない場合は、生活習慣の見直しから取り組みましょう。
歯並びを悪化させる行動やリスクについては、以下のコラムで紹介しています。ぜひ参考にしてください。
歯並びを悪化させる行動とそのリスク
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は、ブラケットとワイヤーを使って歯を少しずつ理想的な位置へ動かしていく矯正方法です。細かな調整ができるため、軽度の歯並びの乱れにも対応可能です。
歯の状態によっては、全体ではなく一部分のみを矯正する部分矯正で対応できるケースもあります。また、部分矯正は治療期間が短く、費用も抑えられる傾向にあるため、気軽に始められる点も魅力です。
マウスピース矯正
マウスピース矯正も、軽度な歯並びの乱れに対応できます。マウスピース矯正は透明なマウスピースを装着して歯並びを整える矯正方法です。
マウスピースの取り外しが可能で、通常どおりのブラッシングやマウスピースの清掃ができるため、口腔内を清潔に保ちやすく、ワイヤー矯正と比較して目立ちにくい点が魅力です。
以下のコラムでは、ワイヤー矯正とマウスピース矯正の違いや、それぞれの注意点を比較しています。どちらの方法を選択するかのご参考にしてください。
マウスピース矯正とワイヤー矯正、結局どちらがいいのか?
当院では、ワイヤー矯正とマウスピース矯正を実施しています。軽度な歯並びの乱れが気になる方は、ぜひ気軽にご相談ください。
Q1:症状が軽度だと矯正は早めに終わりますか?
A1:軽度であれば部分矯正で対応できるケースも多く、比較的短期間で治療が完了します。動かす歯の本数が少なく、移動距離も短いことから、全体矯正と比べて治療期間が短くなる傾向があります。
Q2:歯並びが悪くなる原因はなんですか?
A2:歯並びが悪くなるのには、遺伝による先天的要因と、指しゃぶりや頬杖などの習慣による後天的要因があります。後天的要因は生活習慣を見直すことで対策が可能です。