不正咬合で肩こりになるって本当?噛み合わせとの深い関係を解説
「肩こりが慢性化して、なかなか治らない」
このようなお悩みを抱えている方は、実は“噛み合わせの悪さ”=不正咬合(ふせいこうごう)が原因となっている可能性があることをご存知でしょうか。
不正咬合によって噛み合わせのバランスが崩れると、顎だけでなく首や肩の筋肉にも負担がかかり、肩こりや頭痛といった不調につながるケースがあります。
本コラムでは、噛み合わせを悪化させる原因を解説し、肩こりに与える影響や改善するための具体的な方法もご紹介します。
長引く肩こりの原因がわからずお困りの方は、不正咬合が原因かもしれません。根本的な改善につなげるために、ぜひご参考にしてください。
不正咬合による噛み合わせの悪さと肩こりの関係
噛み合わせの悪さと肩こりには、深い関係があります。
噛み合わせが悪いと、顎に過度な力が加わり、周囲の筋肉が緊張して血流が滞ります。顎の筋肉は首や肩の筋肉と連動しているため、顎にかかる負担が周囲の筋肉に影響し、肩こりの原因になることがあります。
さらに、噛み合わせの悪さによって噛む力や全身のバランスが崩れることも、筋肉の緊張を引き起こし、肩こりを誘発する要因です。
噛み合わせが悪くなる原因
肩こりと関係のある噛み合わせは、さまざまな要因で悪くなります。主な原因について見ていきましょう。
遺伝
顎や歯の大きさには遺伝の影響があるため、ご両親が不正咬合の場合、同様の症状が現れる可能性が高くなります。
ただし、噛み合わせに関わる遺伝的要因は3割であり、残りの7割は生活習慣によるものです。そのため、必ずしも不正咬合が遺伝するわけではありません。
それでも、ご両親の噛み合わせがよくない場合は、日頃から生活習慣に気を配り、予防に努めることが大切です。
食いしばり
無意識のうちに上下の歯を強く噛みしめてしまう食いしばりは、歯や顎に大きな負担をかけ、噛み合わせのバランスを崩す原因となります。
特に、睡眠中やストレスを感じているときに起こりやすく、歯の摩耗や顎関節症を引き起こすリスクがあります。
また、肩こりだけでなく頭痛の原因になることもあるため、早めに対処することが大切です。
左右の噛み癖
食事の際に左右どちらか一方のみで噛む習慣がある場合、顎の骨格や筋肉に偏った力が加わるため、全体のバランスが崩れます。その結果、顎の位置がずれたり、片側だけに過度な緊張が生じたりして、噛み合わせが乱れる原因となります。
噛み癖によって乱れた噛み合わせは、顔のゆがみや肩こりにもつながるため、意識的な改善が必要です。
頬杖
頬杖をつく癖があると、日常生活のなかで無意識に顎へ負担をかけている可能性があります。頬杖は一方向から力がかかることで、顎に負担がかかり、顎関節症や噛み合わせのズレの原因となります。
特にデスクワーク中やスマートフォンを見ているときなど、姿勢が崩れやすい場面では、頬杖をつきやすくなるため注意が必要です。
口呼吸
口呼吸の習慣があると、口が常に半開きになり、口まわりの筋肉が衰えてしまいます。その結果、歯が正しい位置を保てなくなり、噛み合わせの乱れを引き起こします。
さらに、口呼吸によって舌が前歯を押す癖がつくことも、歯並びを悪化させる要因の一つです。また、口内が乾燥しやすくなるため、唾液の分泌が減少し、虫歯や歯周病のリスクが高まる点にも注意が必要です。
以下のコラムでは、歯並びを悪化させる原因をより詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
歯並びを悪化させる行動とそのリスク
噛み合わせの悪さが原因で起こる肩こりの改善方法
噛み合わせの悪さによって起こる肩こりは、日ごろの意識や歯科医院での治療によって改善が可能です。噛み合わせの悪さによる肩こりの改善方法について見ていきましょう。
癖の改善
噛み合わせを悪化させる原因となる癖を改善することで、肩こりの軽減につながります。例えば、歯ぎしりや食いしばりがある方は、寝る際に「ナイトガード」と呼ばれるマウスピースを装着して寝ることで、歯や顎への負担を抑えられます。
また、無意識に頬杖をついてしまう方は、日頃から意識的に頬杖を避けるようにすることが大切です。さらに、左右の奥歯をバランスよく使って噛むことや、口呼吸ではなく鼻呼吸を心がけることも、噛み合わせの安定と肩こりの予防に役立ちます。
姿勢の改善
噛み合わせの悪さに、普段の姿勢の悪さが相まって、肩こりがより悪化しているケースがあります。姿勢が悪いと首や肩の筋肉が緊張するだけでなく、口腔内の筋肉にも影響し、肩こりの原因となる歯ぎしりや食いしばりを誘発します。
肩こりの予防や改善のためには、普段から姿勢を意識することが大切です。意識的に背筋を伸ばすようにしたり、同じ姿勢を長時間続けないようにしたりしましょう。
矯正治療
矯正治療は、噛み合わせを根本から改善する方法です。矯正治療で噛み合わせが改善すると、顎の負担が軽減され肩こりの症状が和らぎます。
矯正治療にはいくつかの種類があり、代表的なのはワイヤー矯正とマウスピース矯正です。ワイヤー矯正は細かい調整が可能で幅広い症例に対応できますが、装置が目立ちやすいのがデメリットです。
一方、透明な素材でできたマウスピース矯正は目立ちにくく、取り外しが可能なため、日常生活での精神的・身体的な負担を抑えたい方に人気があります。
当院では、マウスピース矯正とワイヤー矯正を実施しています。不正咬合による肩こりにお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
マウスピース矯正とワイヤー矯正の違いは、以下のコラムで解説しています。
マウスピース矯正とワイヤー矯正、結局どちらがいいのか?
Q1:矯正治療は大人になってからでも遅くないですか?
A1:遅くありません。顎の成長を終えている大人は、治療計画を立てやすいのがメリットです。ただし、歯や歯茎の状態によっては治療に制限があるため、まずは歯科医師に相談することが大切です。
Q2:矯正治療ができないケースもありますか?
A2:顎の骨格に問題がある場合や、歯と骨が癒着して動かせない場合などは、矯正治療ができないケースがあります。しかし、歯科医院の設備によっては治療ができるケースもあるため、状況によってはセカンドオピニオンを検討しましょう。