矯正治療に保険診療を適用できる症例|堺市の矯正歯科「西村歯科」 矯正歯科コラム

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矯正歯科コラム

矯正治療に保険診療を適用できる症例

矯正治療一般

矯正治療は、保険診療に比べて費用が高かったという患者さまの声を耳にします。基本的に矯正治療は自由診療になるため、全額を自己負担しなくてはなりません。一方、厚生労働省が定めた特例に該当する場合、矯正治療に保険診療が適用されます。

本コラムでは、保険診療が適用できる3つの特例について解説いたします。自由診療のみではなく、保険診療も可能な医院の調べ方、歯並びの個人差や症例による矯正治療の自費負担額を把握していただけます。

保険診療の対象となるパターンとは?

基本的に矯正治療は自費診療です。しかし、厚生労働省が定めた以下の3症例の場合は保険診療で矯正治療を受診できます。

・先天異常
・顎変形症
・永久歯萌出不全に起因した咬合異常

それぞれ解説いたします。

先天異常

日常的に噛み合わせに不具合が生じる先天異常は、保険診療で矯正治療を受けることが可能です。対象となるのは、唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)やダウン症候群、筋ジストロフィーなどの52種類の疾患です。

52種類の疾患に該当しない場合でも、先天的に顎、口腔内の奇形や変形など矯正治療が必要な状態であれば地方厚生(支)局での協議の上、保険診療が認められることがあります。対象となる先天異常の一覧については、厚生労働省の資料をご参照ください。

顎変形症

顎変形症(がくへんけいしょう)は、上顎や下顎の変形によって顔面が非対称になり、バランスが崩れることで噛み合わせの異常や顔が変形する疾患です。顎の変形により咀嚼に不具合が生じたり、発声が阻害されます。また下顎が小さい症例では気道も狭いため「睡眠時無呼吸症候群」の原因になる恐れがあります。

顎変形症は上下の顎のズレが激しいため、矯正治療のみで噛み合わせの改善を図るのは難しく、基本的に外科治療を伴います。顎変形症治療で保険適用される条件は、外科手術が必要なケースのみです。

永久歯萌出不全に起因した咬合異常

永久歯萌出不全(えいきゅうしほうしゅつふぜん)とは、永久歯が生えないことです。それに起因して隣接する歯が倒れこみ、歯並びが乱れます。

矯正治療が保険診療の対象となるのは、永久歯の前歯・小臼歯が3本以上生えないことで噛み合わせに問題が生じ、歯を露出させるために歯茎を切開した場合です。前歯とは正面から見て左右3本の歯を指し、中切歯・側切歯・犬歯が該当します。小臼歯は犬歯の後方にある臼形をした2本を指します。

保険診療対象|矯正治療できる歯科医院の調べ方

保険診療での矯正歯科治療は、厚生労働大臣の定める施設基準に適合し、届け出をしている医療機関でのみ受けられます。対象の医療機関は、以下の手順で検索できます。

(1)厚生労働省|地方厚生局にアクセスし、地域ごとに8つの厚生支局から、最寄りの地方厚生(支)局のリンクをクリックする。
(2)サイト内・右上の検索窓に「施設基準届出受理医療機関名簿」と入力し、検索結果で出てくる一覧の一番上のリンクをクリックする。
(3)医科・歯科ごとに名簿の一覧が掲載されているリンクから、住んでいる県をクリックする。
(4) 医療機関の一覧から「受理番号」の頭の()内の記載を確認する。

・(矯診)は、先天異常と永久歯萌出不全に起因した咬合異常が原因での矯正治療が行える医療機関
・(顎診)は、顎変形症が原因での矯正治療が行える医療機関

保険診療で矯正治療が可能な歯科医院を調べたいときにお役立てください。

矯正治療の保険診療が一部のみである理由

基本的に矯正治療は、歯の見た目を改善するという審美的な目的が強いと判断されるため、保険適用外となります。厚生労働省が定める保険診療の範囲は、病気やけがなどの療養に限られているためです。
健康保険の適用対象は、何らかの疾患を治療する際の費用です。財源は限られており、病気など緊急性の高い治療に優先してあてられます。

例えば、マウスピース型矯正装置を用いた矯正治療は、装置自体が保険適用外の材料であるため、どのような歯並びの症例であっても自由診療での対応となります。

歯科矯正はメリットが多く、歯の健康寿命を延ばして心や体によい影響を与えます。
しかし主な目的である「見た目の改善」や、より長く健康でいるための予防医療は緊急性が高いとはいえません。同様の理由で、生命保険などの民間保険も矯正治療は対象外です。

しかし、近年では、子どもの歯並びの悪さが、虫歯や歯周病など、さまざまな二次障害を引き起こすことが明らかになっています。そのため、歯並びを改善する矯正治療が、単なる見た目の改善だけでなく、口腔機能の向上や全身の健康維持に貢献するとの認識が広まってきています。

<h2>矯正治療に保険診療を適用できる症例とその手続きの流れ</h2>

前述のとおり矯正治療は特定の条件を満たした場合には健康保険を利用できることがあります。では実際に、保険で矯正治療を行う場合の手続きの流れを確認してみましょう。

1. 初診・相談

まずは矯正歯科や大学病院などで相談を行います。この段階で、保険適用の可能性があるかどうかを歯科医師が判断します。保険適用症例は限定されているため、専門的な診断が欠かせません。

2. 検査・診断

次に、レントゲン撮影や口腔内写真、歯列模型の採取など精密検査を行います。これらの資料をもとに「保険が適用される症例かどうか」を診断します。顎変形症の場合は、外科手術と矯正治療を組み合わせる必要があり、この場合は大学病院などの指定医療機関で治療を行うことになります。

3. 指定医療機関での治療開始

保険で矯正治療を受けられるのは、厚生労働省が認定した「指定自立支援医療機関(育成医療・更生医療)」に限られます。
つまり、どの歯科医院でも保険適用が受けられるわけではありません。該当の症例であっても、認定を受けた医療機関で治療を行う必要がある点に注意が必要です。

4. 保険証の提示と費用計算

治療開始時には保険証を提示し、他の保険診療と同じように自己負担割合(3割、子どもであれば2割や0割の場合も)で治療費を支払います。保険適用であっても、装置の種類や治療の進め方は患者さん一人ひとりに合わせて決められます。

5. 定期的な通院と継続治療

矯正治療は数年単位で続くため、定期的な通院が必要です。通院のたびに調整料などが発生しますが、これも保険適用となります。特に顎変形症で外科手術が必要な場合は、口腔外科と矯正科が連携して治療を進めます。

6. 治療後の保定と経過観察

矯正治療が終了した後も、歯並びや噛み合わせが安定するように保定装置を使い、経過観察を行います。この段階でも、必要な診療については保険が適用されます。

矯正治療は高額|少しでも負担を減らすには?

矯正治療は高額な費用がかかるため、経済的な負担を心配される方も少なくありません。実際に、症例によっては治療費が100万円を超えるケースも珍しくありません。

しかし、いくつかの制度や工夫を活用することで、その負担を軽減することが可能です。最も有効な方法の一つに「医療費控除」があります。
医療費控除はその年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費が一定額を超えた場合、確定申告を行うことで所得税の控除を受けられる制度です。

矯正治療の場合、美容目的ではなく、歯科医師が「噛み合わせが悪く、機能的な問題があるため矯正治療が必要」と診断した場合に適用されます。
医療費控除の対象となる医療費には、診察費用や検査費用、矯正装置の費用、通院のための交通費などが含まれます。

また、一部の小児矯正治療については、歯や顎の発育不全の治療に限り、保険適用となる場合もあります。これは、見た目の改善よりも、成長段階における口腔機能の正常な発達を目的としているためです。

さらに、デンタルローンを利用して矯正治療を受ける場合でも、医療費控除の対象となることがあります。デンタルローンの利息は医療費控除の対象外ですが、元金は対象となりますので、ローンを利用する際も積極的に活用を検討してみましょう。

高くても矯正治療を検討すべき理由

一般的に費用が高額になる矯正治療ですが、噛み合わせを改善することで歯の健康寿命が延びる可能性が高まるなど多くのメリットがあります。過去の調査では、歯の数が少ない高齢者はそうでない高齢者に比べ寿命が短くなり、認知症の発症率も上昇した研究結果が出ています。

矯正は高額かつ長期に渡る治療が必要となりますが、その効果は高く、以下のようなメリットが存在します。

・口元が整うことで自信が持てる
・虫歯や歯周病になりにくくなる
・口臭の改善につながる
・しっかり噛めることで咀嚼機能が向上し、胃腸の負担を軽減できる

歯並びと噛み合わせの改善は心と体に多くのメリットを与えます。高額でも、検討する価値がある治療といえるでしょう。ご自身の矯正治療が保険診療の対象か知りたい、治療費の負担をできる限り減らしたいなどのご相談は当院までお気軽にお問い合わせください。

 

Q1:矯正治療で抜歯は必須でしょうか?
A1:矯正歯科医は基本的に抜歯をしない矯正治療を検討します。ですが、一部の歯が歯並びに支障をきたし、その歯を残したままだと矯正治療を阻害したり、将来的に改善した歯並びが再び乱れる可能性があれば、抜歯を提案することもあります。

Q2:何歳まで歯列矯正が可能でしょうか?
A2:歯列矯正に年齢制限はありません。歯と歯茎が健康であれば矯正治療は行えますが、個人によって差があるため、まずは当院やかかりつけの歯科医院でご相談ください。

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