矯正治療が終わってからの注意点とは
治療後のケアが不十分な場合、せっかく矯正治療で整えた歯が元に戻ってしまう可能性があります。美しい歯並びと口腔内の健康を維持するため、何に注意すべきかを理解しておきましょう。本コラムでは、矯正治療後の注意点について解説します。治療後、キレイな歯並びを維持したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
矯正治療が終わってからの注意点|「後戻り」に気をつける
矯正治療後に気をつけて欲しい事象の一つとして、歯が元の位置に戻ってしまうことです。これは「後戻り」と呼ばれ、治療期間に関わらず、誰にでも起こりえる現象です。矯正治療後の歯はまだ安定しておらず、日常生活におけるさまざまな負荷で動く可能性があるからです。
具体的な例であげると、頬杖をつく、横向きで寝る、唇を巻き込むなどです。この無意識の癖は、意識して修正することが難しいものもあります。治療を終えて整えた歯に、無意識に力を加えてしまわないよう注意してください。
矯正治療後に最も注意すべき後戻りを防ぐためには「リテーナー」と呼ばれる保定装置を一定期間装着する必要があります。リテーナーとは、歯の位置を安定させるために歯に装着する装置で、特殊なワイヤーやプラスチック製など、いくつかの種類があります。また、リテーナー装着による保定期間は、通常1~3年程度とされ、歯が安定するまでは、1日20時間ほどの装着が必要です。リテーナーの装着を怠ると後戻りを起こし、最悪の場合矯正治療をやり直さなければなりません。
矯正治療が終わってからの注意点|口腔内のケアを怠らない
矯正治療後は、後戻りの防止だけでなく、虫歯や歯周病の予防も大切です。特に、リテーナーを清潔に保つことは重要です。歯だけでなく、リテーナーにもプラークは付着しやすく、手入れを怠ると虫歯や歯石の形成につながる可能性があります。その点においては矯正器具を装着しているときと同様、虫歯になるリスクは高いといえるでしょう。
毎日の歯磨きとフロスの使用でプラークを除去し、口腔内を清潔に保ってください。美しい歯並びを長く維持するためには「矯正治療後」の定期的な歯科検診と口腔内のケアが大切です。
Q1:矯正治療が終わった後に装着するリテーナーにはどんな種類がありますか?
A1:矯正治療後に一般的に用いられるリテーナーには3種類あります。
【マウスピース型】取り外し可能で、透明な材料でできているため目立ちにくいです。
【プレート型】ワイヤーとプラスチックプレートで歯を固定します。取り外しが可能ですが、ワイヤーが目立つ場合があります。
【ワイヤー型】前歯の裏側にワイヤーを固定します。取り外しができず、汚れが溜まりやすいので定期的なクリーニングが必要です。
Q2:矯正治療後も定期的な歯科診察は必要ですか?
A2:はい、矯正治療が終わったあとも、定期的な歯科検診がとても大切です。チェックと適切なケアをすることで、整えた歯並びを長期間維持できます。
記事監修 医療法人祐愛会「西村歯科」 西村 有祐
■ 略歴
- 日本歯科大学新潟歯学部 卒業
■ 所属学会・資格
- 日本口腔インプラント学会JSOI専修医
- 日本訪問歯科協会認定医
- 日本歯周病学会 会員
- 日本障害者歯科学会 会員
- 日本訪問歯科協会 会員
- 日本歯科保存学会 会員
■ 著書
- 『よみがえる青春のかみごこち』 国際臨床出版社
- 『訪問歯科診療におけるメディカルインタビューの進め方』 日本訪問歯科協会
- 『訪問歯科診療 アドバンスプログラム』DVD内著書 日本訪問歯科協会
- 『補綴とデンチャーへのリマインダー』DVD教材収録 日本訪問歯科協会



