どれくらい噛めばOK?チューイーの正しい使い方と注意点まとめ
マウスピースを用いた歯列矯正を始めたものの、チューイーの適切な使い方や噛む時間が分からず、効果を実感できずにいる方もいるかもしれません。
チューイーは、マウスピースと歯をしっかりと密着させ、矯正効果を最大限に引き出すための重要な補助装置です。
この記事では、チューイーの役割から正しい使い方、噛む時間やタイミング、さらには痛みや衛生面に関する疑問まで詳しく解説します。
正しく活用して、計画通りに理想の歯並びを目指しましょう。
マウスピース矯正の成功を左右する「チューイー」の役割
マウスピース矯正において、チューイーは治療計画の成功を大きく左右する重要なアイテムです。
チューイーとは、シリコンでできた弾力のあるロール状の補助道具で、マウスピースを装着した状態でこれを噛むことにより、マウスピースと歯をしっかりとフィットさせる目的で使用します。
手で装着するだけでは、歯とマウスピースの間にわずかな隙間(浮き)が生じることがあります。
この隙間をなくし、矯正力を計画通りに歯へ伝えるために、チューイーの使用が推奨されています。
チューイー使用で得られるマウスピース矯正への良い影響
チューイーを正しく使用すると、マウスピースと歯の密着度が高まります。
特に、歯の表面に取り付けられた「アタッチメント」とマウスピースの凹凸がしっかりと嵌合することで、計画された矯正力が的確に歯へ伝わります。
これにより、歯がスムーズに移動しやすくなり、治療が計画通りに進む可能性が高まります。
マウスピースが歯から浮き上がっている状態では、十分な矯正効果が得られません。
チューイーを日常的に使う習慣をつけることで、このような問題を未然に防ぎ、矯正治療の質を高めることができます。
チューイーを使わないと起こりうる矯正計画の遅れ
チューイーの使用を怠ると、マウスピースが歯から浮いた状態が続き、矯正力が適切に歯にかからなくなります。
その結果、歯がシミュレーション通りに動かず、治療計画に遅れが生じる可能性があります。
計画と実際の歯の動きにズレが生じると、マウスピースが合わなくなり、作り直しが必要になるケースも少なくありません。
作り直しには追加の費用や期間がかかるため、治療全体の負担が増加します。
特に新しいマウスピースに交換した直後は浮きやすいため、チューイーをしっかり使用することが、スムーズな治療進行のために不可欠です。
チューイーの正しい使い方と噛む手順
チューイーの効果を最大限に引き出すためには、その使い方を正しく理解することが重要です。
これから、マウスピースを装着してからチューイーを噛むまでの一連の手順を具体的に解説します。
前歯から奥歯まで、すべての歯で均等に噛むことで、マウスピース全体のフィット感を高めることができます。
正しい手順を身につけて、日々のマウスピース矯正に役立ててください。
ステップ1:マウスピースを装着してチューイーを噛み始める
まず、マウスピースを上下の歯に装着します。
このとき、指で前歯から奥歯にかけて均等に力を加え、できる限り歯に密着させます。
完全に装着できたら、チューイーを口に入れ、噛みやすい位置でゆっくりと噛み始めます。
チューイーを縦向きにして前歯で噛んだり、横向きにして奥歯で噛んだりと、部位によって持ち方を変えると効果的です。
最初は焦らず、じっくりと圧力をかけるように意識して、マウスピースがさらに歯に沈み込む感覚を確認しながら進めてください。
ステップ2:前歯から奥歯へ順番にしっかり噛み込む
効果的なチューイーの噛み方は、特定の歯だけで噛むのではなく、全ての歯で均等に噛むことです。
まず前歯の部分で数回噛んだ後、少しずつ奥歯の方向へチューイーをずらしていき、犬歯、小臼歯、大臼歯と順番に噛み進めます。
この動作を歯列全体にわたって繰り返します。
特にマウスピースが浮きやすいと感じる箇所は、他の部分より少し時間をかけて重点的に噛み込むと良いでしょう。
1か所につき数秒間、しっかりと噛みしめることで、マウスピースが歯全体に均一にフィットします。
ステップ3:1日に噛む時間の目安と効果的なタイミング
チューイーを噛む時間の目安は、1日合計で20分から30分程度が推奨されています。
特に効果的なタイミングは、食事や歯磨きの後、マウスピースを再装着した直後です。
このタイミングでチューイーを噛むことで、取り外した際に生じがちなわずかな浮きを解消できます。
また、新しいマウスピースに交換した最初の2~3日間は、歯が動き始める重要な時期であり、フィットしにくいため、意識的に噛む時間を長くすると効果的です。
一度に長く続けるのが難しい場合は、1日数回に分けて合計20分以上になるように調整してください。
チューイーに関するよくある質問と解決策
チューイーを使い始めると、痛みを感じたり、衛生的な管理方法に悩んだりすることがあります。
ここでは、チューイーの使用に関するよくある質問と、その解決策をまとめました。
交換時期の目安や、万が一なくしてしまった場合の対処法についても解説します。
疑問点を解消し、安心して矯正治療を継続しましょう。
もし解決しない問題や強い不安がある場合は、かかりつけの歯科医院に相談することが大切です。
チューイーを噛むと痛みを感じる場合の対処法
新しいマウスピースに交換した直後は、歯が動くことによる圧迫感で、チューイーを噛むと痛いと感じることがあります。
これは矯正力がかかっている証拠でもありますが、無理は禁物です。
痛みが強い場合は、噛む力を弱めたり、時間を短くしたりして調整してください。
数日経って歯が移動し、痛みが和らいでから徐々に噛む時間を延ばしていくと良いでしょう。
また、特定の歯だけが強く痛む場合は、マウスピースが正しく装着できていない可能性も考えられます。
痛みが長期間続く、または我慢できないほど強い場合は、歯科医師に相談してください。
衛生的に使うためのチューイーの洗浄と保管方法
チューイーは直接口に入れるものなので衛生管理が重要です。
使用後は唾液が付着しているため必ず流水でよく洗い流してください。
指で軽くこすり洗いするとより清潔な状態を保てます。
洗浄後は清潔なタオルの上や風通しの良い場所でしっかりと乾燥させることが大切です。湿ったまま保管すると雑菌が繁殖する原因となります。
保管する際は専用のケースに入れることでほこりの付着などを防げます。
適切なお手入れを習慣づけ常に清潔なチューイーを使用するように心がけてください。
弾力がなくなったら交換!チューイーの寿命と見分け方
チューイーは繰り返し使用することで弾力が失われていく消耗品です。
弾力がなくなったチューイーを使い続けても、マウスピースをしっかり歯にフィットさせる効果は得られません。
交換の目安としては、噛んだ時に以前のような反発力が感じられなくなったり、表面にひび割れや傷が目立ってきたりした時です。
一般的には1つのチューイーを2週間から1ヶ月程度で交換することが推奨されますが、使用頻度や噛む強さによって寿命は異なります。
常に効果的な状態で使用するため、弾力が落ちたと感じたら早めに新しいものと交換しましょう。
チューイーをなくした時に代用できるアイテム
チューイーを紛失してしまった場合、新しいものが手に入るまでの一時的な代用として、清潔なタオルやガーゼ、キッチンペーパーなどを小さく折りたたんで噛む方法があります。
これらはチューイーの代わりとして、ある程度マウスピースを歯にフィットさせる助けになります。
ただし、これらはあくまでも応急処置であり、チューイー本来の適切な弾力や硬さはないため、十分な効果は期待できません。
また、衛生面にも注意が必要です。
代用品の使用は最小限に留め、できるだけ早く歯科医院や通販で新しいチューイーを入手することが最善です。
まとめ
チューイーはマウスピース矯正の効果を最大限に引き出し、治療を計画通りに進めるために不可欠な補助道具です。
正しい使い方をマスターし、毎日継続して使用することが、理想の歯並びへの近道となります。
特にマウスピースの装着直後や、新しいものに交換した際は意識的に使用しましょう。
チューイーは歯科医院で入手できるほか、様々な種類が市販されており、通販サイトなどでも手軽に購入可能です。
痛みや衛生面など、今回紹介した注意点を守りながら、矯正治療のパートナーとしてチューイーを上手に活用してください。
記事監修 医療法人祐愛会「西村歯科」 西村 有祐
■ 略歴
- 日本歯科大学新潟歯学部 卒業
■ 所属学会・資格
- 日本口腔インプラント学会JSOI専修医
- 日本訪問歯科協会認定医
- 日本歯周病学会 会員
- 日本障害者歯科学会 会員
- 日本訪問歯科協会 会員
- 日本歯科保存学会 会員
■ 著書
- 『よみがえる青春のかみごこち』 国際臨床出版社
- 『訪問歯科診療におけるメディカルインタビューの進め方』 日本訪問歯科協会
- 『訪問歯科診療 アドバンスプログラム』DVD内著書 日本訪問歯科協会
- 『補綴とデンチャーへのリマインダー』DVD教材収録 日本訪問歯科協会



