マウスピース矯正中にミシミシ音がする?これって歯が動くサイン?
マウスピースを用いた歯列矯正中に、歯から「ミシミシ」という音が聞こえて不安に感じていませんか。
実はその音、多くの場合、歯が計画通りに動いている証拠です。
▼ミシミシ音が鳴る原因
・マウスピースと歯の表面がこすれて生じる摩擦音
・歯を支える骨が新しく作られる過程で発生する音
・アタッチメントとマウスピースが適合する際のきしみ音
▼ミシミシ音が鳴りやすいタイミング
・新しいマウスピースに交換した直後の1〜3日間
・チューイーを噛んでマウスピースを密着させる時
▼心配ないケース
・一時的な音で強い痛みが伴わない場合
▼歯科医院に相談すべきケース
・激しい痛みが続いたりマウスピースが浮いたりする場合
この記事では、矯正中のミシミシ音の原因や、音が鳴りやすいタイミング、そして注意すべき症状との見分け方について詳しく解説します。
まずはご安心を!マウスピース矯正中のミシミシ音の多くは歯が動いている証拠
マウスピース矯正中に聞こえるミシミシ音の多くは、歯が動いている過程で生じる正常な反応です。
歯科矯正は、歯に力をかけて骨の代謝を促し、歯を移動させる治療です。
その際に歯を支える組織が変化することから、音が鳴るという現象が起きることがあります。
なぜ?マウスピース矯正でミシミシ音が鳴る3つの主な原因
マウスピース矯正でミシミシと音が鳴るのには、主に3つの原因が考えられます。
これらはインビザラインをはじめとする多くのマウスピース矯正や、ワイヤー矯正でも起こりうる現象です。
それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。
原因①:マウスピースと歯の表面がこすれて生じる摩擦音
マウスピースを装着・脱着する際に、装置と歯の表面がこすれることで摩擦音が発生することがあります。
特に、新しいマウスピースは現在の歯並びとわずかなズレがあるため、よりタイトにフィットし、きしむような音が鳴りやすくなります。
原因②:歯を支える骨が新しく作られる過程で発生する音
歯は、歯根膜というクッションを介して歯槽骨に支えられています。
矯正力がかかると、歯が動く方向の骨は溶け、反対側の骨が新しく作られます。
この骨の再構築の過程で、微細なきしみ音が生じることがあるのです。
適切なケアとして正しい磨き方やフッ素の使用は重要ですが、この音自体は生理的なものです。
原因③:アタッチメントとマウスピースが適合する際のきしみ音
アタッチメントとは、歯の表面に設置する小さな突起物のことで、マウスピースの矯正力をより効果的に歯へ伝える役割があります。
このアタッチメントとマウスピースがしっかりとはまり込む際に、きしみやミシミシといった音が発生しやすくなります。
こんな時に鳴りやすい!ミシミシ音が聞こえる主なタイミング
ミシミシという音は、矯正期間中ずっと鳴り続けるわけではありません。
特に音が聞こえやすいとされる、代表的な3つのタイミングについて解説します。
これらの時期に音がしても、過度に心配する必要はありません。
矯正治療を始めたばかりの初期段階
マウスピース矯正を開始した直後は、歯が初めて本格的な矯正力を受けるため、歯周組織の反応が最も活発になります。
歯が動こうとする力と骨の代謝が大きく関わるため、ミシミシという音が聞こえやすい時期といえます。
新しいマウスピースに交換した直後の1〜3日間
マウスピースは段階的に交換し、少しずつ歯を動かしていきます。
新しいマウスピースに交換した直後の数日間は、歯にかかる力が最も強くなるタイミングです。
そのため、歯が動く際の圧迫感とともに、きしみ音やミシミシ音が鳴りやすくなります。
チューイーを噛んでマウスピースを密着させる時
チューイーは、マウスピースを歯にしっかりとフィットさせるための補助道具です。これを噛むことで、マウスピースが歯やアタッチメントに強く圧接されます。
その際に、装置と歯がこすれたり、きしんだりしてミシミシという音が発生しやすくなります。
これって大丈夫?危険なサインを見分けるセルフチェックリスト
多くのミシミシ音は心配不要ですが、中には注意が必要なケースも存在します。
ここでは、正常な反応と、歯科医院に相談すべき危険なサインとの見分け方について解説します。ご自身の状況と照らし合わせて確認してみてください。
心配ないケース:一時的な音で強い痛みが伴わない場合
音が鳴るのがマウスピースの着脱時や交換直後の数日に限られ、耐えられないほどの強い痛みが伴わない場合は、正常な範囲内である可能性が高いです。
歯が動く際の違和感や軽い鈍痛は起こりえますが、次第に和らぐようであれば問題ありません。
歯科医院に相談すべきケース:激しい痛みが続いたりマウスピースが浮いたりする場合
我慢できないほどの激しい痛みが続く、特定の歯だけが強く痛む、マウスピースが歯から明らかに浮いていてフィットしない、といった症状がある場合は注意が必要です
また、マウスピースにひび割れや破損がある場合も、すぐに歯科医院へ相談してください
「もしかして異常かも?」と感じた時にすべきこと
もしミシミシ音に加えて痛みや違和感が強く、異常かもしれないと感じた場合、自己判断で対処するのは危険です。
ここでは、不安を感じた時に取るべき適切な行動を2つ紹介します。
自己判断でマウスピースの装着を中断しない
痛みや違和感があるからといって、自己判断でマウスピースの装着をやめてはいけません。
装着時間が不足すると、治療計画に遅れが生じたり、歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」が起きたりする可能性があります。まずは装着を続け、速やかに医師に相談しましょう。
我慢せずに担当の歯科医師へ早めに連絡する
少しでも不安や異常を感じたら、我慢せずに担当の歯科医師やクリニックに連絡することが最も重要です。電話で状況を説明し、指示を仰ぎましょう。
早めに相談することで、問題が大きくなる前に対処でき、安心して治療を続けることができます。
音が気になるときの対処法
マウスピース矯正中にミシミシとした音が気になる場合は、まず無理に噛みしめないことが大切です。強く噛むことで余計な力がかかり、違和感や痛みが強くなることがあります。気になるときほど、リラックスして自然な状態を保つようにしましょう。
また、マウスピースがしっかり装着できているかも確認しましょう。浮きやズレがあると、かみ合わせが不安定になり音が出やすくなることがあります。軽く押し込んでフィットさせる、チューイーを使ってなじませるといった工夫も有効です。
さらに、装着初期や新しいマウスピースに交換した直後は、歯が動く影響で一時的に違和感や音が出ることもあります。多くは時間とともに落ち着くため、過度に心配する必要はありません。
ただし、強い痛みが続く場合や違和感が長引く場合は、自己判断せず歯科医院に相談することが安心です。適切なチェックを受けることで、トラブルの早期発見にもつながります。
マウスピース矯正のミシミシ音に関するよくある質問
ここでは、マウスピース矯正中に生じる音に関する、よくある質問とその回答をまとめました。
Q1. ミシミシ以外の「パキパキ」「キシキシ」といった音も問題ないですか?
「パキパキ」「キシキシ」といった音も、多くはミシミシ音と同様の理由で発生します。
マウスピースと歯の摩擦や、歯を支える組織の変化による音と考えられるため、強い痛みを伴わなければ過度に心配する必要はありません。
Q2. 食事中や何もしていない時に顎から音が鳴るのも関係ありますか?
顎から鳴る音は、矯正による噛み合わせの変化で顎関節に負担がかかっている可能性があります。
顎関節症の兆候も考えられるため、歯が鳴る音とは別物です。
痛みを伴う場合や頻繁に鳴る場合は、担当の歯科医師に相談してください。
Q3. ミシミシという音は治療が終わるまでずっと続くのでしょうか?
治療期間中、常に音が鳴り続けるわけではありません。
歯の移動量が大きい治療初期や、新しいマウスピースに交換した直後など、特定の時期に鳴りやすい傾向があります。
歯並びが安定してくると、音も次第に落ち着いていきます。
まとめ
マウスピース矯正中に聞こえる「ミシミシ」という音は、多くの場合、歯が計画通りに動いている証拠であり、心配のいらない生理的な現象です。
特に治療の初期段階や新しいマウスピースに交換した際に聞こえやすくなります。
ただし、我慢できないほどの激しい痛みが続いたり、マウスピースが浮いてしまったりする場合は、何らかのトラブルの可能性があります。
不安な症状がある場合は自己判断で装着を中断せず、速やかに担当の歯科医師に相談することが重要です。
記事監修 医療法人祐愛会「西村歯科」 西村 有祐
■ 略歴
- 朝日大学歯学部 卒業
■ 所属学会・資格
- 日本口腔インプラント学会JSOI専修医
- 日本訪問歯科協会認定医
- 日本歯周病学会 会員
- 日本障害者歯科学会 会員
- 日本訪問歯科協会 会員
- 日本歯科保存学会 会員
■ 著書
- 『よみがえる青春のかみごこち』 国際臨床出版社
- 『訪問歯科診療におけるメディカルインタビューの進め方』 日本訪問歯科協会
- 『訪問歯科診療 アドバンスプログラム』DVD内著書 日本訪問歯科協会
- 『補綴とデンチャーへのリマインダー』DVD教材収録 日本訪問歯科協会



